『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成:就活生同士の嘘が織りなす青春ミステリー

小説

こんにちは、ワブルトです。

今回ご紹介する本は逢坂冬馬さんの『六人の嘘つきな大学生』です。

本作は「王様のブランチ」でブランチ大賞2021受賞、2022年本屋大賞ノミネート、第43回吉川英治文学新人賞、2022本格ミステリ・ベスト10国内ランキング第4位などのタイトルを受賞しているので知っている人の多い作品ではないでしょうか?

ジャンルとしてはミステリーになりますが、基本会話がメインで特に殺人事件が起こるといったことはないので、その手の描写が苦手な人にも安心して読んでいただけます。

こんな方におすすめ

  1. 心理戦が好きな方
  2. 複数の伏線が好きな方
  3. 考察系の作品が好きな方

上記にも書いた通り本作は学生同士の会話をメインにストーリーが進むので、登場人物の掛け合いや心理戦が見どころになっています。

そして作品の構成上、たくさんの伏線が出てきます。

それをもとに話しの展開を考察しながら読み進めていけます。

話しのテンポもよく、読みだすと先が気になり読む手が止まりませんでした。

それでは内容の紹介をしていきます。

作者:浅倉秋成

まずは作者の浅倉先生についてです。

浅倉さんは2012年に第13回講談社BOX新人賞”Powers”でPowersを受賞した『ノワール・レヴナント』でデビューしています。

本作の他に『フラっガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』『教室が、ひとりになるまで』『九度目の十八歳を迎えた君と』『俺ではない炎上』など小説の他に『ダブルアウト』や『ショーハショーテン!』の漫画の原作を担当したり、他にも浅倉冬至名義でも活動しており多方面で活躍されています。

あらすじ

ここにいる六人全員、とんでもないクズだった。
成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考に残った六人の就活生。一カ月後までに最高のチームを作り上げ、ディスカッションをし、その結果次第では全員に内定が出るという。波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を開けると「〇〇は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とはー。

『六人の嘘つきな大学生』帯概要より

本作は六人の就活生が主軸になり物語が進みます。

「スピラリンクス」という一流企業の最終選考で六人が初めに出されたお題のチームディスカッションは結果が良ければ全員合格になるというものでした。

そこで六人の力を合わせ全員合格を目指し学校やバイトの合間をぬって皆んなで集まり、定期的に課題についてのミーティングをすることになります。

メンバーはリーダー気質の人がいたり、自分の意見を臆さず発言できたり、資料作成などの上手い人がいたりとバランスの取れたチームです。

意見の食い違いもありましたが、議論を重ねていくうちに絆を深めこのまま六人で合格できると思っていた矢先にスピラリンクスから一通のメールが届きます。

それは面接内容と採用人数の変更を知らせるものでした。

グループディスカッションで議題が「六人の中で誰が最も内定に相応しいか」を議論しそこで選出された一人を採用するというのです。

波多野達六人はそれを受け全員で合格するつもりでいたので動揺を抱えたまま面接本番を迎えます。

面接当日一人の学生の呼びかけで皆で集合して面接会場に向かいます。

この時には六人とも「誰が受かっても間違いない、譲るつもりはないが正々堂々とフェアに行こう」などと前向きに面接に臨みます。

グループディスカッションは2時間30分後に面接官が戻ってきた時に六人の中から一人を選出しておくというのもでした。

そこで30分ごとに多数決を取り最終的に獲得票が一番多い人が内定をもらうことに決まりました。

1回目の投票が終わりこのまま何事もなく進んでいくのかと思われましたが、数人が一つの封筒に気づきます。

誰かの忘れ物かと思いながら中を見てみると、それぞれの名前が書かれた小さな封筒が入っていました。

一人の学生が封筒を開け中の紙を見るとそこに「〇〇は人殺し」と書いてあります。

それを皮切りにそれぞれの秘密が暴露されていき、デマだから気にしないようにと言いながらもやはり投票に影響が出てしまいます。

そして最終的に一人の学生が選ばれるところで前半が終わります。

そこから後半ではインタビュー形式であの封筒は一体誰の仕業だったのか謎解きパートが始まり物語の面白さが加速していきます。

おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございます。

本作は300P近くありその半分で面接編、残りで真相究明編の構成になっています。

文章が巧みで読んでいて疲れるどころか気づいたら一気読みできました。

封筒を仕込んだ犯人は誰かそしてその目的は何か、また何が真実なのか是非ご自身で確認して下さい。

それでは皆様に良い本との出会いがありますように。

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