こんにちは、ワブルトです。
今回ご紹介する本は逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』です。
本作は2022年本屋大賞受賞、キノベス!2022第1位、第166回直木賞候補作、第9回高校生直木作候補作、第11回アガサ・クリスティー賞受賞など数々のタイトルを取り今年1番売れているのではないかと思います。
本作は主人公の「セラフィマ」が女性だけの狙撃小隊に入隊し、仲間と共に苦悩を経験しながら成長していく戦争を題材にした物語になっています。
こんな方におすすめ
- 読み応えのある作品が好きな方
- 内容を思案しながら読書するのが好きな方
- 臨場感のある内容が好きな方
本作はエピローグまでに488ページあるので中々にボリュームがあります。
中身も十二分に詰まっているので読書好きにも納得の一冊です。
内容も考えさせられる展開や心情が多く、ただただ読み進めると言うよりは考えさせられる内容になっています。
また僕自身も戦争を題材にした小説は初めて読んだのですが、文字でここまで想像させらるかと思うほど臨場感溢れる作品です。
何より読み始めてハマると488Pあるとは思えないほどにサクサク読み進めていけるので是非一度手に取ってほしいと思います。
それでは内容の紹介をしていきます。
作者:逢坂冬馬
まずは作者の逢坂冬馬さんについてです。
逢坂さんは本作『同志少女よ、敵を撃て』でアガサ・クリスティー大賞を、史上初の全選考委員が5点満点をつけ受賞しデビューされています。
年齢もまだ30代で全然若いのでこれからも素晴らしい作品を世に出して欲しいです。
昔から有名な作者さんだと作品数も多く、一気読みやまとめて購入するとなると相当な労力を要しますが、まだ1作目なので好きな作者の作品を全部読みたい勢にもおすすめです。
僕も新刊が出版されたら確実に購入するので、本作を読んで逢坂さんのファンになったらこれからの作品を追って行きましょう。
あらすじ
主人公の「セラフィマ」はモスクワ近郊のイワノフスカヤ村に住む16歳の少女です。
イワノフスカヤ村は人口40人の小さな村で、野生動物の食害に苦しんでいました。
セラフィマは母「エカチェリーナ」に狩猟を教わっていて若くして村の猟師をしていました。
セラフィマは母エカチェリーナや同い年の男の子である「ミーシカ」らと大学卒業後にイワノフスカヤ村で平和に暮らしていけると信じていました。
そんなセラフィマにある日突然不幸が降り掛かります。
ドイツ軍の「イェーガー」指揮官が率いる中隊に村が襲われ、村人が次々に撃たれて亡くなっていきます。
その中には猟銃で抵抗しようとした母エカチェリーナも射殺されてしまいました。
少しドイツ語が話せるセラフィマがドイツ軍に助けを求めると、逆上したドイツ兵に銃を突きつけられます。
ここまでかとセラフィマが思ったその時、銃声がし男が血を吐きながら倒れます。
赤軍の兵士が助けにきてドイツ軍は何人か負傷し他は逃走しました。
その赤軍の中の女性兵『イリーナ』にセラフィマはドイツ軍のことについて質問されますが、つい先ほど目の前で母や村人を殺されたショックで何も言葉が出ません。
そんなセラフィマにイリーナは改めて一つの質問をします。
「戦いたいか、死にたいか」
引用元:『同志少女よ、敵を撃て』本文より
その問いに一度は死にたいと答えたセラフィマでしたが、イリーナに思い出の品を壊され、母や村人の遺体と家を焼かれてしまいます。
そこでもう一度イリーナに「お前は戦うのか、死ぬのか」と聞かれ、イリーナとドイツ軍に復讐するとセラフィマは心に誓います。
そしてセラフィマは狙撃兵としてイリーナの教え子となります。
そこには同じような境遇の女性が十数人います。
訓練生の一人で生徒の中では最年長である「ヤーナ」にイリーナについて聞きます。
イリーナも前は狙撃兵として九八人の敵兵を射殺した好成績を残しています。
しかし迫撃砲で右手の指を失い前線を退きました。
それからは女性には女性に、そして狙撃兵には狙撃兵に最適化された軍事訓練と学校と教官が必要ということでイリーナはその教官の長に任命されました。
セラフィマはそんなイリーナの元でヤーナや「シャルロッタ」「アヤ」「オリガ」ら仲間達と厳しい訓練を乗り越えていく。
初めは衝突が多かったり、中々馴染めないメンバーがいたり、実はオリガがNKVDだったりと色々あったがなんとか無事に卒業を迎えます。
そしてすぐさま実践へと臨むことになります。
それが独ソ戦の転換期になるスターリングラードの前線へと出向くのです。
スターリングラードはドイツ軍に60万人以上の戦力を用いて市街地の九割超を支配された土地で、ソ連はその土地を奪還すべく天王星作戦(ウラヌス作戦)を出します。
ウラヌス作戦が成功すれば、敵に包囲された土地を取り返しそこに過剰集中した敵戦力を大きく削ることができるため大変重要な作戦になります。
セラフィマ達はスターリングラードを奪還し独ソ戦に勝利することができるのか、また戦争の真の敵と対峙することになります。
セラフィマは戦争を経て当初の目的である復讐を遂げることが出来るのか?
その辺りが中盤、後半にかけての主なストーリーになりますが、ネタバレし過ぎると面白さが減るので、ここからはご自身の目で確認して見てください。
おわりに
ここまで読んでくださりありがとうございます。
こんなご時世ですので本を読むことの少ない人にも是非一度読んで、改めて戦争について考えてみて欲しいと思います。
戦争は何も生みません。
作中で描かれていることが現実で行われていると思うと悲しくなります。
本作は内容の素晴らしさだけでなく戦争についても考えさせられる最高の一冊となっています。
それでは皆様に良い本との出会いがありますように。
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